夜がどれほど暗くても

大手出版社「週刊春潮」の副編集長である志賀倫成は、雑誌の売上における正に大黒柱とも呼べる存在であった。スキャンダル記事こそが柱であり他の記事を支えているという自負を持っており、周りの評価も高く順風満帆なジャーナリスト生活を送っていた。ところがある日、息子の健輔がストーカー殺人を犯した上に自殺したという疑いがかかり、志賀は一気にどん底へと陥ることになる。あれほど高い評価を受けていた周りからの視線も冷たくなり、志賀は問題雑誌と揶揄されている「春潮48」への格下げ異動を命じられる。取材対象ばかりでなく、社内からも罵倒される羽目に遭い、志賀の精神は少しずつ疲弊していく。そんな中で娘の奈々美に襲われてしまい、最愛の妻も重圧に耐えきれずに家出してしまった。苦悩の日々が続く中で、志賀は何とかして健輔が犯したという事件について迫っていこうとする。